レポート テーマ『エスカレーターが危ない!』

エスカレーターの乗り方について考えてみたい。
関東では左側に立ち右側をあけ、関西では右側に立ち左側をあけるなど、地域差もよく指摘されるエスカレーターの乗り方だ。
急ぐ人のために片側をあけておくのが暗黙のルールであるかのように定着しているが、この片側歩行こそが接触事故につながり、転倒、転落事故をも引き起こしているのだ。
一つのマナーとして認識されている歩行のための片側あけについて、業界団体に聞いたところ「歩くということは推奨していない。むしろ歩行をやめてくださいという話をしている」とのことだった。
さらにエスカレーターは、構造上も歩行に適さないのだという。エスカレーターは蹴上げの部分が階段より3〜4cm高く、つまずきやすいのだという。
さらに横幅は110cm以内と決められおり、歩いて追い越すのは難しいのである。
そもそも、片側を歩行することを誰が決めたのか?
交通局担当者によると「右側を空けることを今まで特にお願いした経緯はない。
自然にマナーとして広まった」との見識である。
社団法人日本エレベータ協会にも話しを聞いてみた。
「もともとエスカレーターは片側をあけないで乗ることが基本です。片側をあけ、急ぐ人が歩いて通るというのは、自然発生的に生まれてしまったもの。本来は、ステップの黄色い枠の中に立ち、必ず移動手すりを持つというのが、正しい乗り方ではないでしょうか」とのこと。その理由としては、「安全装置が動作した時や停電の時は急停止するから、転倒を防ぐため」ということ。
また、なぜ両側に乗るべきなのかというと、「片側だと輸送効率が悪いという理由のほか、手すり側の片方の手が不自由な方などもいるから」ということだった。
そんな今、名古屋では片側歩行を禁止し、ポスターや電光掲示板、車内、駅構内の放送で積極的に呼びかけている。しかし現在も片側を昇り降りする人は跡を絶たないという。交通局担当者は「長い間、片側をあけるという慣行がある。ご協力をお願いしてすぐに改まるのは非常に難しいが、ねばり強く継続的に続けていきたい」とのことだった。
そもそもこんな危険な慣行が、何か近代文化の常識でもあるかのように広がり出したのは、ここ十数年ほどのことである。
それ以前は片側歩行などなくても誰も困りはしなかった。
事故が増えている今、エスカレーターでの歩行を見直す時期がきているのである。
歩行による事故は他人を巻き込み、最悪の場合は、将棋倒しにつながる危険性すらある。危険がともなう以上、エスカレーターはやはり「片側をあけない」のが、マナーなのである。
冷静に考えてみれば、こんなことをしても何秒の節約にも、
何メートルの節約にもなりはしないのだから...。
地藤 芥男




