
皆さん、オリンピック正式種目の「近代五種」という競技をご存知でしたか?
今回のレポートは、私達にあまり馴染みのなかった、「近代五種」についてご紹介したいと思います。
近代五種という競技は、1人の選手が1日に、射撃(エアピストル20発競技)、フェンシング、水泳(200m)、馬術(障害)、ランニング(3,000m)と五種目で構成される全く異なった種目に挑戦するという、まさに人間の限界に挑む競技です。
競技は午前7〜8時の射撃で始まり、最終のランニングを終えるのは午後6時過ぎになるという過酷なものです。
19世紀ナポレオン時代のフランスで、敵陣を突っ切って自軍まで戦果を報告することを命令されたフランスの騎兵将校が、馬で敵陣に乗り込み(馬術)、途中の敵を銃と剣でうち倒し(射撃・フェンシング)、川を泳いで渡り(水泳)、丘を越えて走りぬけた(ランニング)という故事を元に、近代オリンピックの創立者であるクーベルタン男爵が古代ギリシアで行われていた古代五種(レスリング・円盤投・やり投・走幅跳・短距離走)をなぞらえた近代五種として提案し、1912年のストックホルム大会から競技化したのが始まりと言われています。
クーベルタン男爵は、この競技を評して“スポーツの華”と称したとも伝えられています。
その後シドニーオリンピックからは、女子種目にも加えられました。
競技人口は世界で約3万人いると言われていますが、日本では東京オリンピックを契機に競技が開始され、現在国内には約100人の競技者がいます。
しかしこの競技は、馬術・フェンシング・射撃など環境の整いにくい競技も多く、競技人口が増えにくい現状があり、また伝統的にハンガリーなどの欧州勢が圧倒的に強いことから、北京オリンピックでは野球やソフトボールとともに、競技の削減候補のひとつにも挙げられましたが、北京での削減は見送られました。
射撃・フェンシング・水泳は基準記録を1000点とし、そこから記録に応じて得点が増減され、また馬術は1200点からの減点法で採点します。
最後の3000m走は、馬術までの総得点がもっとも高い選手がスタートし、以降得点から算出された時間差毎にスタートし、最終順位が確定します。
アジアで5人にしか与えられないオリンピックへの切符。以前日本はアジアにおいてトップクラスの実力を有していましたが、バルセロナ以降、アトランタ、シドニー、アテネと3回のオリンピックには出場できていませんでした。
しかし今回の北京オリンピックには、16年ぶりに自衛隊体育学校所属の村上佳宏(むらかみ よしひろ)選手が出場権を獲得しました。
村上選手は、静岡・沼津学園高(現飛龍高)から日体大では競泳に没頭し、1988年ソウル大会の競泳男子背泳ぎで金メダルを獲得した鈴木大地氏の姿を見て「こんな大舞台で泳いでみたい」と五輪出場を夢見てきました。
大学時代の恩師に「近代五種で五輪を目指してみないか」と誘われたのがきっかけで、競技は違うが飛びついたそうです。当初は水泳以外は全くの素人。時間をかけ、必死に練習に打ち込み、徐々に力をつけようやく手にしたオリンピックへの切符なのです。
主な成績は、02年釜山アジア大会個人8位、団体銅メダル。世界選手権では04年の19位が最高成績ですが、06年の全日本選手権で優勝し、今大会の活躍が期待されています。
皆さん、様々な種目が凝縮された「近代五種」。
究極の技術と体力が必要とされる過酷なこの競技と村上選手の活躍に注目しましょう!
金内 檎種
| 2010年9月4日更新 | ||
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