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へぇ〜レポート テーマ『理想はフィンランドにあり』

理想はフィンランドにあり

日本の子供の学力低下が懸念される中、世界でトップレベルの学力を生み出すフィンランドの学習法に関心が高まっているが、その学習法とはどんなものなのだろうか。
今回のレポートは、日本とフィンランドの教育環境や方針の違いを交えまとめてみた。


OECD(経済協力開発機構)の学習到達度調査(2006年、15歳対象)によると、57カ国の地域の中で、フィンランドは「数学的応用力」2位(日本10位)、「科学的応用力」1位(日本6位)、「読解力」2位(日本15位)と調査対象の3項目全てでトップクラス。
一方、日本の子供は、読解力が不足していることに加え、初めて目にする問題に対し、知識を応用して解くのが苦手なことが明らかになった。

日本が順位を落とした要因に「ゆとり教育」の失敗があげられるであろうが、それだけではない。日本が高得点をあげていた従来の国際調査は、詰め込まれた知識量をみるものであったのに比べ、生涯にわたって学習する能力を身につけているかどうかをみるための現在の指標では、今の日本のランクはうなづけるものだ。
これには、授業時間をまた増やしたりする付け焼き刃の方策では、日本の教育が抱えている課題は解決できないだろう。
事実、年間の平均標準授業時間の比較からみても、7〜8歳で日本の709時間に対して、フィンランドは530時間、9〜11歳でも日本の761時間に対しフィランドの673時間と、フィンランドの授業時間は日本よりも圧倒的に少ないのである。

それでは、日本とフィンランドでは教育方針にどんな違いがあるのだろうか。

フィンランドでは、子どもを励まし、助け、援助することが教育のあり方だという。
決して落ちこぼれを作らないという努力が、教育方針の根幹となっているのである。
習熟度別学習や補習授業の充実、個別指導などの生徒の学習状況や能力に合わせた支援体制がある他、「勉強は美徳である」という考え方が浸透している。
例えば、小学生であっても在籍している学年の勉強範囲を修得していないと判断されれば、保護者と教師の相談の上で留年ということもある。「留年させてでもおちこぼれを作らない」という基本理念なのである。
またそれは、恥として捉えられることはなく、むしろ人より長く勉強することはすばらしいと捉えられている。
そういう考え方がフィンランドには根づいているのである。

子どもたちの学習態度はどうか。たとえば、学校が出す宿題について、子どもの受け止め方は日本とは違う。一方的に、これをやってきなさいと言っても、なかなかやってこない。しかし、「もっと勉強したい人は、この問題を解いてみたら」などと投げかけると、ほとんどの生徒が取り組むという。
また、フィンランドには日本のような塾や予備校はない。高校進学は中学卒業時の成績で決まり、自分で卒業成績が低いと思えば、もう1年余計に中学へ通うことも可能だ。
その場合も、「落ちこぼれ」と言われるどころか、むしろ「長い期間、勉強した」という捉え方をされる。日本のような受験競争とは無縁である。
もともと「他人と比較して上か下か」という考え方すら存在せず、個人主義が徹底された社会が背景にあるのである。

驚かされるのはまだある。
フィンランドでは幼稚園から大学まで公立学校しかなく、授業料が無料である。
フィンランドは税金が高く、収入の50%以上を払っているそうだが、それに見合うサービスを受けているので、その税率の高さも当たり前というふうに受け入れているのだ。
教員養成学校でも授業料が無料であることから、教師を目指す人達は学校に長く在籍して勉強する傾向にあり、平均在籍年数は11.8年にもなるという。
教師を目指す人達が、自ら志を高く持っていることにも驚かされるが、それをバックアップする制度にも驚きを隠せない。

さらに、補習授業を制度的に取り入れている学習支援体制にも感心させられる。
落ちこぼれ対策の補習授業が制度化されているのだが、「フィンランドの資源は“木”と“頭”だ」というコンセプトのもと、人という資源を大事に育てていく教育に力が注がれている。補修授業は、国語と算数(数学)が主で、20〜25%の子どもが利用したことがあるというが、教師は週28時間の就労時間が最大限なので、補習授業などで教師が足りない場合には、校長の判断で新しい教師を増やすことができるのである。
生徒の勉強支援に加え、サポートする教師側の制度も整っているのだ。

最後に教師についても触れておきたい。
フィンランドの教師は生徒に決して押し付けはしない。逆に、いかにして生徒が自発的に授業に興味を持ち、集中させるかのテクニックに磨きをかけるという。
また、日本のように指導要領による画一性は少なく、教師の自由度が高いため、大きなやりがいと充実感が得られるのだという。


最近、フィンランド方式をうたう学習関連本が相次いで出版されているが、自ら問題を発見して考える力を身につけ、自分の言葉で表現するフィンランド式が、知識詰め込み型の学習法から脱却しようとしている日本にとっては大いに参考にはなるだろう。しかし、教育は「国民」というよりも「個」を重視する教育方針そのものに、見習うべきところが数多くあるような気がする。


落橋 貴来

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