
日本人には欠かせないお味噌汁。味噌汁は不足しがちな栄養素の効率的な摂取源であり、さまざまな健康効果が得られることをみなさんはご存知でしたか?
一時、塩分の摂り過ぎが高血圧や脳卒中、ガンの発症リスクを高めるとして味噌汁離れが進みましたが、近年味噌の原料である大豆の様々な効用が明らかになるにつれ、味噌汁の良さが見直されています。
そこで今回は、“驚異のサプリメントスープ”ともいえる味噌汁の効果を見直してみたいと思います。
味噌汁とは、説明することもなく、カツオ節や煮干しでダシをとったあとに具と味噌を加えたスープのことですが、まず主人公ともいえる「味噌」に注目してみます。
味噌には様々なつくり方がありますが、基本的には大豆を煮て塩と麹(こうじ)を加えて発酵させたものです。そしてその製造過程で大豆の成分に加えて、脳の働きを助け記憶力や学習能力を高めるグルタミ酸を生じます。
味噌は麹の種類によって、米みそ、麦みそ、豆みその三つに分かれますが、いずれも原料は大豆です。大豆は体に有用な植物性タンパク質を多く含む食品ですが、火を通しただけの調理では消化吸収性が悪くその威力を十分に発揮できません。
しかし麹菌や酵母菌、乳酸菌などが繁殖することにより、それらが持つ酵素の働きで消化吸収性が増します。さらには、大豆には含まれていないビタミンB12なども増えるという特徴があります。
大豆は「畑の肉」と呼ばれていますが、その由縁となるのが豊富なたんぱく質です。大豆たんぱくは、血中のコレステロール値を低くする働きがあり、動脈硬化や冠動脈疾患の予防に役立ちます。また大豆の脂質は、牛肉などの脂肪酸(白く固まる「脂」)とは違い、リノール酸(サラサラの「油」)が主成分で、血圧を低下させる作用があります。
さらに現代人に不足しがちなカルシウムをはじめ、カリウム、マグネシウム、リン、鉄などのミネラルを豊富に含んでいます。また、糖質の分解、脂肪の燃焼(ダイエット)に必要なビタミンB群も豊富に含み、細胞の酸化(老化)を抑制し、心疾患や脳梗塞を予防するビタミンEも豊富に含んでいるのです。
最近では錠剤タイプのサプリメントでこれらのミネラルを補給する人が増えていますが、大豆はそれらに決して劣らない自然のマルチサプリメントなのです。
参考までに大豆に含まれる他の有用成分についても紹介しておきましょう。
大豆サポニン
大豆に含まれる渋み苦味の主成分で、コレステロール、中性脂肪を低下させます。血管内で過酸化脂質による血栓をつくりにくくするため、動脈硬化を予防します。肝機能障害の改善にも効果があり。また、最近ではガンやエイズウイルスに対する有効性も注目されています。
レシチン
脳内の情報伝達物質のアセチルコリンの元で痴呆症の予防に有効。その他血管壁についたコレステロールや脂肪を溶かし排除する働きがあるため、動脈硬化や高血圧を防ぐことが知られています。
イソフラボン
大豆胚芽に多く含まれるポリフェノールの一種。体内で女性ホルモンと似た働きをするために骨密度の低下を防ぐことが知られています。特に女性に有用な成分です。
大豆オリゴ糖
少量で善玉の腸内細菌を増殖させる働きがあります。
ところで、みなさんが味噌汁を飲むときに同時に食べるとしたら「ごはん」と「パン」どちらを選ぶでしょうか? ほとんどの人は「ごはん」を選ぶはずです。これは塩気が多いみそ汁と、塩を含むパンとを同時に食べるのを本能的に避けているのか、ただ単に味覚として食べ合わせが悪いだけなのかは分かりませんが、千年以上もの間、私たち日本人に食べられてきたみそ汁は、その独特の味と食感で主食やおかずなど、一定のスタイルを持っているいえます。
その中でも特に「ごはん」を同時に食べるということはとても重要で、そのことで摂取するアミノ酸のバランスが「味噌」と「ごはん」を別々に食べたときよりも良くなるという特徴があります。
これは大豆たんぱく質に不足している「メチオニン」を米のたんぱく質が補い、米のたんぱく質に不足している「リジン」を、大豆のたんぱく質が補うという補完関係が成り立ち、総合的なアミノ酸バランスを良くするのです。
次に味噌汁の具について考えてみます。
みそ汁の具といえば、「豆腐」「わかめ」「ねぎ」「大根」「なめこ」「シジミ」などが挙げられますが、それだけをとっても“体に効く食べ物”として取り上げる価値のある食材です。
しかも調理に余計な食用油を使用することもなく、野菜類なら生で食べる時のようなドレッシングも必要ないことから量も多く食べることができます。
結局この「味噌」+「ごはん」+「具」の三位一体で、体に必要十分な栄養を補うことが可能になるというのが味噌汁の驚くべき効果なのです。
最後に塩分について。
味噌汁の優れた効能は分かっても、塩分が気になるという人は多いでしょう。
確かに味噌汁は、お椀一杯でに1.5〜2gの塩分を含んでいます。
健康人の塩分摂取量は1日10g以下が目標とされていますが、仮に毎食味噌汁を飲めばその半分を摂取する事になってしまいます。味噌汁を毎日3回以上飲む人が、さらにみそ汁より多くの塩分を含むインスタントラーメンやスナック菓子などを食べれば、一日に推奨される最大塩分摂取量の10gを超えることは容易に起こりうるでしょう。
大切なのは、味噌汁のような食品は例え塩を含んでいてもトータルで見れば“体に効く食べ物”であることから、“たいして体に効かない”が塩分をたくさん含んでいる食品をできるだけ食べないようにすることです。
味噌汁は、今や食事の脇役ではなく、立派なヘルシー料理へと格上げされるべき存在といえます。
またこれからは、疲れているときやストレスを感じているときなどに積極的に飲まれてみてもいいのかも知れません。
島 歩
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| 2011年10月16日更新 | ||
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