
夏の土用の時期は、暑さが厳しく夏バテしやすいため、精のつくものを食べようとする習慣から、「土用に鰻」というのが定番になったそうだが、今回は栄養の宝庫とも言われる鰻の持つパワーについて、改めてまとめてみた。
大昔、水神の使いとして神聖視されていた鰻。
日本では奈良時代から精のつくものとして知られていたというが、一般的に食べられるようになったのは江戸時代で、幕末の万能学者として有名な平賀源内が、夏場に鰻が売れないので何とかしいたと鰻屋に相談され、「本日、土用丑の日」と張り紙を出し、土用の丑の日に鰻を食べれば健康によいと推奨したのが始まりとされている。
鰻は、良質なたんぱく質と脂質に加え、ビタミンAやB、E、カルシウム、鉄分などを多く含み栄養のバランスが良いことからも、夏のスタミナ源として食べるのはとても理にかなっている。
特に体内でビタミンAとして作用するレチノールが豊富で、カボチャ等に含まれる植物性のカロテンに比べても7倍の働きをする。
レチノールは免疫力を高め、細菌やウイルスに対する抵抗力をつけるほか、皮膚や目の角質や粘膜などの上皮組織の分化にも働くので美肌にも効果があり、女性には嬉しい栄養素である。
また、糖質がエネルギーになる時に必要で疲労回復に役立つビタミンB1と、皮膚、髪、爪などを健康に保つ美容のビタミンと呼ばれるビタミンB2が豊富である。
鰻の脂質には、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれおり、これらは悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やす作用があり、血栓生成を抑制し動脈硬化などの生活習慣病予防にも役立つ。
さらに、DHAは脳の発達を助け、 EPAはアレルギー症状の改善に効果があると言われている。
鰻特有のぬるぬるの成分はムコ多糖質といい、胃腸の粘膜の保護や消化吸収を助ける働きがある。皮の内側にあるコラーゲンも皮膚の栄養に役立っている。
鰻を焼く際、ピペリジンという物質と脂質、アミノ酸が加熱により結合し、メラノイジンという成分が生成されるが、メラノイジンは抗酸化力があり、血中の悪玉コレステロールの増加を抑制する働きもある。
おまけに日本人に不足しがちなカルシウムも豊富だ。
鰻にはこれだけの栄養があることがお分かり頂けただろうか。
まさに栄養の宝庫である。
最後に、地方によって異なる鰻の調理方法について少し触れておこう。
関西では腹開きにして白焼きしてたれをつけて焼く。関東では背開きにして白焼きし、蒸してからタレをつけて焼く。最近では関東でも腹開きにして、生のまま蒸しタレをつけて焼く店もある。名古屋地区では比較的固めに焼き、お茶漬けとしても食べられている。
九州の柳川ではご飯の上に錦糸玉子や蒲焼きをのせ、再び蒸す料理も人気である。
世界の鰻消費量の約半分を消費する日本人は、世界一鰻を食べる国民である。
鰻は古くからの日本の文化ともいえるが、栄養に裏付けされたスタミナ食「鰻」を、
夏場だけではなく、日頃から親しみ愛食したいものだ。
(田辺 碓代)
| 2011年10月16日更新 | ||
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